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社員食堂とは?運営方式や導入するメリット・デメリットも

食事は、健康な体づくりに欠かせない要素の1つです。しかし、仕事で忙しい毎日を送る社会人の中には、食環境を十分に検討する余裕がない方も少なくありません。そうした自社の社員の健康管理を補助するために、福利厚生サービスの一環として社員食堂(社食)の導入を検討している企業は多いのではないでしょうか。

当記事では、社員食堂の概要や運営方法、社食サービスを導入するメリット・デメリットについて解説します。低コストで導入するための方法も併せて確認し、社員食堂の運営と食事補助のサービスを成功させましょう。

1.社員食堂とは?

社員食堂とは?

社員食堂とは、企業が自社で働く従業員のために設置する給食施設・設備のことです。ホットペッパーグルメ外食総研の調査によると、社員食堂の設置率は23%程度にとどまるものの、導入企業の数は少なくありません。

出典:株式会社リクルートライフスタイル「社員食堂の利用実態や改善要望を調査」

社員食堂は、主に「会社周辺に飲食店やコンビニがない」「セキュリティ上、勤務時間帯に外出できない」といった社員の不便を解消する目的で設置されてきました。しかし、最近では単なる栄養補給の場としてだけではなく、「社員の健康増進」「リラックススペースとしての活用」など、社員食堂の設置目的やニーズも多様化しています。

それでは、社員食堂にはどのような運営方式が考えられるのでしょうか。

1-1.社員食堂の運営方式

現在、さまざまな企業で展開される社員食堂の運営方式には、主に次の4つのタイプがあります。

・直営方式

調理師や栄養士など、食事・料理の提供に関わるスタッフを企業が直接雇用し、社員食堂を運営・管理する方式です。自社の社員からの要望・意見を取り入れながら、メニュー作りや環境整備などができるため、社員からの評価も高い傾向にあります。

・準直営方式

現在の事業を行っている会社とは別に、社員食堂の運営業務を担う会社を新たに設立し、社食の運営会社に社食事業を一任する方式です。

・外部委託方式

社員食堂の運営や管理を、すでに存在する外部の給食会社や社食事業者に委託する方式です。委託コストはかかりますが、自社で専任の管理栄養士などを雇用する必要がなく、メニュー開発などに手間やコストがかからない点はメリットといえるでしょう。

・お弁当提供方式

社食デリバリーサービスのように、外部委託した企業などにお弁当を作ってもらい、会社まで宅配してもらう方式です。社内に調理スペースを設けられない場合に採用しやすいため、比較的規模の小さな企業でも導入しやすいタイプであるといえます。

このように、社食方式にはさまざまなタイプがあります。自社の環境や社員の働き方などに応じて、適切なタイプを選定しましょう。

2.社員食堂を導入・運営する3つのメリット

社員食堂を導入・運営する3つのメリット

社員食堂を設置していない企業も多く見られる一方で、比較的規模の大きな会社を中心に社員食堂を導入している企業もめずらしくありません。企業が福利厚生として社員食堂を設置することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは、社員食堂を導入・運営することで得られる企業側の3つのメリットについて解説します。

2-1.(1)社員同士のコミュニケーションが活性化される

仕事中は業務に集中しているため、同じ部署やグループ、近くのデスクにいる方など、限られた範囲の社員同士としかコミュニケーションをとる機会がありません。一方、社員食堂は部署や役職・職級を問わず、多くの社員が集まる場所です。従業員同士が会話・交流する機会が増えることで、社員のリフレッシュ・気分転換を図れるでしょう。

また、食事中はプライベートのことなど、仕事以外の情報・話題を気軽に話すことができます。活発な社内コミュニケーションにより、同じ職場で働く社員の別の一面を知ることで、新しい人間関係のつながりや新しいアイデアの誕生も期待できるでしょう。

2-2.(2)社員の健康維持・増進につながる

食事は健康の維持・増進を図るために重要な要素の1つです。しかし、忙しい現代社会において、栄養バランスなど健康面を考えた食事を自分で毎食準備することは簡単ではありません。

社員食堂を導入すれば、栄養バランスの整った食事を社員に提供することが可能です。良好な栄養バランスの食事を通して、社員の健康支援ができれば、業務効率の改善や生産性の向上も期待できるでしょう。

2-3.(3)社員の満足度が向上する

社員食堂でおいしい食事や栄養バランスの整った食事を提供することで、社員の満足度が向上する可能性があります。社員満足度・従業員満足度がアップすれば、社員の離職防止・人材定着にもつながるでしょう。

また、離職率の低い企業は、社外に良いイメージを与えます。就職活動・転職活動をしている方からも魅力的に思われるため、企業の人気が高まり、より優秀で有望な人材の獲得も期待できます。

3.社員食堂を導入・運営する3つのデメリット

社員食堂を導入・運営する3つのデメリット

社員食堂の導入・運営にはさまざまな魅力がある一方で、社員食堂を設置するデメリットもいくつか存在します。デメリットをあらかじめ把握していなければ、社員食堂を設置しても成功するとは限りません。
ここでは、社員食堂を導入・運営する上で企業側に発生する主なデメリットを3つ紹介します。

3-1.(1)導入・運営に多額のコストがかかる

社員食堂の運営方式にはいくつか種類がありますが、いずれの方法でもシステムの導入コスト・運営コストを負担する必要があります。例えば、社内に食事スペースと調理スペースの両方を設け、自社で調理に関わるスタッフを雇用する直営方式の場合、次のような費用がかかります。

  • 設備・備品を購入・設置する費用
  • 人件費
  • 食材費
  • 水道光熱費
  • 衛生用品費
  • 厨房機器などのメンテナンス など

このように、社員食堂は導入時にも運営中にもコストが必要となりますが、自社の環境や予算などに応じて適切な運営方式を選べば、費用を抑えることが可能です。

3-2.(2)営業時間が限定される

シフト制や交代制の業種・職種など、昼食時間帯以外に営業できる場合もあります。しかし、一般的な日勤制の企業の場合、社員食堂は昼食時間帯のみの営業となることが基本です。社外の方に社員食堂を開放することもありますが、基本的には自社の社員の昼休憩に合わせた営業時間となります。

このように、社員食堂は一般的な食堂やレストランよりも営業時間が限定されがちです。短い営業時間のために、調理師などの調理に関わるスタッフや施設・設備を用意することは、コスト面で見て難しい場合があります。

3-3.(3)常にメニューの改善が必要となる

社員食堂は一般的な食堂・レストランよりも安い値段で食事をとれるため、社員が魅力的に感じる福利厚生の1つとして挙げられます。しかし、料金の安さだけを求めると、味や見た目、栄養バランスなどの品質が下がり、社員食堂の利用率が低下する恐れがあるため注意が必要です。

また、健康志向の社食提供を行っていても、「社食メニューのラインナップが1年中変わらない」など変化がなければ、利用者が減少する恐れがあります。メニュー内容のマンネリ化を防ぐためには、商品・メニューの改善や社食改革を常に続けていかなければなりません。

4.導入・運営コストを抑えるなら「社内カフェ」がおすすめ!

導入・運営コストを抑えるなら「社内カフェ」がおすすめ!

社員食堂は、企業側・社員側の両方にメリットのあるシステムですが、前述の通り、社員食堂の導入や運営には多額のコストと手間がかかります。そのため、特に中小企業では、最初から規模の大きな社員食堂を導入することに不安を感じるでしょう。

「社員同士が飲食をしながら気軽に会話できるスペースを確保したい」という場合には、導入費・運営費の金額を抑えられる「社内カフェ」がおすすめです。

社内カフェは、現在のオフィスの空きスペースに、コーヒーマシンやドリンク・軽食などの自動販売機、テーブルセットなどを設置するだけで簡単に導入できます。ドリンクや軽食、簡易社食などの種類も簡単に変更できるため、社員の希望をすぐに反映することが可能です。社内カフェについて詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

まとめ

社員食堂の設置率は約2割であり、それほど高いわけではありません。また、運営方式によっては多額の初期費用がかかったり、営業時間が限定されたりと、社員食堂にはデメリットがいくつか存在します。

一方で、社員食堂には「社員同士のコミュニケーション活性化」「健康維持・増進」「社員満足度向上」といった価値もあります。「社員食堂のメリットを活かしたいが設置が難しい」という場合は、比較的少ない初期投資で導入できる「社内カフェ」もおすすめです。自社に合う方式を選び、社員・企業の成長につなげましょう。

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