サーバーラックとは?メリットから選ぶ際のポイントまで
「サーバー」は、ネットワークを通じてパソコンにファイル・データを提供できるIT機器のことです。企業内の人間同士でファイルを共有したり、さまざまな業務データをまとめて保存・管理することができます。
サーバーのみならず、PCパーツやIT機器は精密な機器であり衝撃に弱く、転倒・落下で故障してしまうおそれがあります。そのため、大切に保管しておかなければなりません。サーバーを保管するためには、「サーバーラック」が便利です。
今回は、サーバーラックとは何かについて詳しく説明します。さらに、サーバーラックを使用するメリットや選ぶ際のポイントも解説するため、サーバーの保管方法に悩んでいる人は、ぜひ参考にして下さい。
1.サーバーラックとは?
業務の効率化が期待できるサーバーは、大規模の企業に導入されていることがほとんどですが、デジタル化が進む近年、中小企業やベンチャー企業でも導入されています。
大切なファイルやデータを管理・保存するサーバーがもし故障してしまうと、業務に大きな支障をきたす可能性があります。精密な構造で、転倒・落下などの衝撃に強いとは言えないサーバーは、「サーバーラック」でしっかり収納しましょう。
サーバーラックとは、その名の通りサーバーを収納するためのラックです。サーバーラックにサーバーを収納しながら、安心・安全にファイルやデータのやり取りが可能です。
EIA(米国電子工業会)では、サーバーラックの幅と高さの標準を19インチラック(幅482.6mm・高さ44.45mm)と規格化されており、日本でも同様のサイズで規格化されています。しかし、サーバーにはさまざまな形があるため、販売されているサーバーラックの形も多種多様です。
2.サーバーラックを使用するメリット
大切なファイルやデータを保存するサーバーを、サーバーラックに収納して使用する代表的なメリットには、以下の4つが挙げられます。
〇オフィスの限られたスペースを有効に活用できる
サーバーラックは、縦のスペースを活用して収納できます。サーバーを並べて直置きしたり直接重ねたりしないため、よりコンパクトに収納できます。
〇関連機器の保守・メンテナンスが容易になる
サーバーラックがあれば、関連機器などが一部の箇所に収納されるため、保守・メンテナンスが容易になります。何らかのトラブルが起こった場合でも、復旧時間の短縮が期待できるでしょう。
〇重要なデータを厳重に管理できる
サーバーには、個人情報などの重要なファイルやデータを保存します。鍵付きのサーバーラックであれば、重要なデータを保存しているサーバーをより厳重に管理できます。
〇ほこりによる故障リスクを抑えられる
サーバーを長期間むき出しにすると、ほこりがファンに詰まってしまい、故障の原因にもなりかねません。定期的な掃除の際は、毎回電源を抜く必要があります。しかし、サーバーラックに収納していればほこりがファンに詰まることもなく、ほこりによる故障リスクを最小限にまで抑えることができます。
上記のほか、コード類の延長が短く美観が保てるという点もちょっとしたメリットだと言えるでしょう。
3.サーバーラックを選ぶ際のポイント
ここまで、サーバーラックとは何かをわかりやすく説明しました。サーバーラックの使用にはいくつかの嬉しいメリットがあるため、サーバーを収納できていないという企業にはおすすめだと言えるでしょう。
しかし、すべてのオフィスにおいて、紹介したすべてのメリットが感じられるわけではありません。そのため、設置環境を考えたうえで選ぶことが大切です。
3-1.サーバーのサイズと合っているか
前述のとおり、サーバーにはさまざまな形があるため、サーバーラックの形も多種多様なため、まずはサーバーのサイズを確認しておきましょう。
サーバーの種類は、大きく「19インチマウント型」と「タワー型」の2つに分類されます。
①19インチマウント型
19インチマウント型は、EIA(米国電子工業会)により定められた規格に沿って製造されたサーバーです。
この19インチとは、サーバーの幅のサイズ(482.6mm)を指しています。高さにも1.75インチ(44.45mm)という規定があり、EIA(米国電子工業会)ではこの高さを「U」という単位で規定しています。※1U=1.75インチ(44.45mm)
②タワー型
タワー型は、デスクトップパソコンの本体のような形をした、据え置きタイプのサーバーです。奥行きのあるものが多いため、サーバーラックの奥行きサイズもあわせて確認する必要があります。
ここまでで分かるように、EIA(米国電子工業会)ではサーバーの幅・高さにおける規格を定めているものの、奥行きにおいては規格を定めていません。
サーバーによって奥行きのサイズは特にさまざまなため、サーバーラックを選ぶ際は「サーバーの種類」と「サーバーの奥行きのサイズ」をきちんと確認しておきましょう。
3-2.収納量
サーバーラックのサイズにより収納量も大きく異なるため、サーバーラックの中にどれほど物を収納するかを考えたうえで選ぶことが大切です。
サーバーラックには、さまざまなサイズの商品があります。どれだけの収納量があるか、どれだけの物を収納するかを考えながら、適切なサイズのサーバーラックを選びましょう。
適切なサイズのサーバーラックを選ぶことで、設置スペースの省スペース化にも繋がります。
- サーバー本体・関連機器1台のみを収納する → 小型タイプ
- サーバー本体・関連機器を複数台収納する → 中型・大型タイプ
また、現在のサーバー本体・関連機器の数に合わせて選ぶのも良いですが、今後サーバーを増やす予定なのであれば、あらかじめ収納量の大きいサーバーラックを選んでおくことも大切です。
3-3.設置スペースに収まるか
サーバーラックを選ぶ際は、設置スペースに気を付ける必要があります。
収納量の大きいサーバーラックを選んでも、ラックそのものが設置スペースからはみ出たり、大きすぎて収まらなかったりする可能性も考えられます。
まずはサーバーラックをオフィスのどこに収納するかを決め、スペースの幅・高さ・奥行を図りましょう。高さがそれほどないサーバーラックであれば、デスク下へコンパクトに収納することもできます。
3-4.ラック自体のセキュリティと熱処理
サーバーラックには、一般的なラックタイプのほか、鍵付きのボックスタイプもあります。
サーバーには重要なファイルやデータを保存しているため、鍵付きのボックスタイプであれば、セキュリティは万全です。
しかし、ボックスタイプはサーバー本体の熱を密閉してしまう可能性があるため、放熱ファンがついているものやメッシュパネル仕様のものなど、放熱性に優れたサーバーラックを選ぶことをおすすめします。セキュリティと熱処理のバランスも考えて選びましょう。
3-5.地震対策
サーバーラックは、サーバーを直に設置するよりも転倒・落下などのリスクを抑えられるものの、地震などの大きな揺れや衝撃におけるダメージを吸収することはできません。
大きな揺れや衝撃を与えてしまうと、当然収納してあるサーバーにもダメージが発生します。特に、安価なサーバーラックやスリムタイプのサーバーラックは、ボックスタイプのサーバーラックに比べて揺れや衝撃に弱い傾向があります。
重要なファイルやデータを保存するサーバーをきちんと収納するからこそ、突然の衝撃でもある程度耐えられるよう、しっかり作られたサーバーラックを選ぶ・しっかり固定して設置することをおすすめします。
まとめ
サーバーラックは、重要なデータが保存されているサーバーを守るために重要なアイテムです。サーバーは主に19インチマウント型・タワー型の2つの種類に分けられ、各サーバーに適したサーバーラックも多く販売されています。
サーバーラックを選ぶ際は、サーバーのサイズに合わせて選ぶことが最も大切ですが、その他にもオフィス内のスペースにきちんと設置できるか、収納したい物を収納できるかどうかを考えることも重要です。
ここまでの内容を参考に、ぜひ自社にぴったりのサーバーラックを選んでみてください。