更新:

パーソナルスペースと仕事|人間関係と集中力を改善するヒント

パーソナルスペースは、多くの人と関わりながら社会生活を送る上で、適切な距離を保つことは生産性の向上やトラブルの回避に有効です。

今回では、パーソナルスペースと仕事の関係性と集中力を高めるパーソナルスペースの活用方法、パーソナルスペースで把握しておくべき3つの注意点を解説します。生産性の向上を図りたいと考えている企業側の人や、職場での人間関係を円滑にしたい人は、ぜひ当記事を参考にしてください。

1.パーソナルスペースと仕事の関係性とは

パーソナルスペースと仕事の関係性とは

パーソナルスペースは、コミュニケーションを円滑にするための大切な概念で、仕事とも密接な関係があります。そのため、仕事をする際は関わる人達のパーソナルスペースを意識し、適切な距離間で接することが重要です。

ここでは、パーソナルスペースの定義と、4つのパーソナルスペースについて詳しく解説します。

1-1.パーソナルスペースとは

パーソナルスペースは、個人を意味する「パーソナル」と、空間を意味する「スペース」を組み合わせた言葉です。つまり、パーソナルスペースは「個人の心理的な安全が確保できる空間」を意味しています。

パーソナルスペースには、密接距離・個体距離・社会距離・公衆距離の4つがあり、相手との関係性や場所などに合わせて、適切な距離を使い分けることが大切です。

1-2.密接距離

密接距離

親密距離とも呼ばれる密接距離は、相手との距離が45cm未満のゾーンで、親子や恋人同士など親しい間柄の人との距離です。密接距離は、手を伸ばせばすぐに相手に触れられるゾーンのため、信頼関係がある相手や、気心の知れた相手のみ入ることができます。

親しくない人が密接距離に入った場合は不快感が生じるため、他人に近づく際には注意が必要です。

1-3.個体距離

個体距離

個体距離は相手との距離が45cm以上120cm未満のゾーンで、個体距離は友人であれば入ることが許されます。

ただし、友人であっても異性の場合は、相手に警戒心や不快感を生じさせる危険性があるため注意しましょう。トラブルを避けるためにも、120cm未満の距離に近づくことは避けたほうが無難です。

1-4.社会距離

社会距離

社会距離は相手との距離が120cm以上350cm未満のゾーンで、職場の同僚や取引先の担当者との適切な距離に当てはまります。社会距離は、テーブル越しに会話する程度の遠さです。

職場の同僚との距離は120cm以上210cm未満、初対面の相手や面接での距離は210cm以上350cm未満が適切な範囲と言われています。そのため、仕事をする上では社会距離を意識して、相手との距離を保つことが重要です。

1-5.公衆距離

公衆距離

公衆距離は相手との距離が350cm以上離れたゾーンで、個人的な繋がりのない他人同士の距離です。セミナー講師やライブ演奏者に対する聴衆の位置は、350cm以上750cm未満の距離が適切とされます。

路上や交通機関のホームなど、公共の場で居合わせた他人同士の場合、公衆距離を保てば不快感やストレスが生じることはありません。

2.パーソナルスペースを理解することでより良い人間関係をつくる

仕事をする際、パーソナルスペースの心理的な効果を意識して、相手との距離や座る場所を決めることで、コミュニケーションを円滑にすることが可能です。

ここでは、人によって異なるパーソナルスペースの特徴と、パーソナルスペースを仕事で活用する際の具体的な方法を解説します。

2-1.人によって異なるパーソナルスペース

前述したように、心理的な安全を確保できるパーソナルスペースの広さは、人によって異なります。そのため、以下の3つに注意して相手との距離間を保つことが大切です。

  • 男女の違い
  • 狭い人の特徴
  • 広い人の特徴

男女のパーソナルスペースの違いは、下図の通りです。

男女のパーソナルスペースの違い

男性のパーソナルスペースは、本人の前後方向に縦長の楕円形に伸びています。一方、女性のパーソナルスペースは正円に近い領域です。

男性の場合、縦方向に警戒が強いため、横から話しかけるとスムーズに話せます。女性の場合は、どの方向にも均等に警戒しているため、近すぎると思われない距離を保つことがポイントです。

また、パーソナルスペースには個人差があり、適切だと感じる距離が狭い人と広い人がいます。

パーソナルスペースが狭い人の特徴 パーソナルスペースが広い人の特徴
  • ・社交的
  • ・自信に満ちている
  • ・客観的に考える
  • ・外部への関心が強い
  • ・異性の友だちが多い
  • ・内向的
  • ・神経質で繊細
  • ・自信を表に出さない
  • ・人見知り
  • ・集団行動が苦手

パーソナルスペースが狭い人は、人と接するときの距離が近く、社交的な傾向にあります。
一方、パーソナルスペースが広い人は人と接するときの距離が遠く、内向的な傾向にあります。

特に仕事を行う際は、上記の特徴から相手のパーソナルスペースの広さを見極めた上で、相手との適切な距離を保つことが重要です。

2-2.パーソナルスペースを仕事で活用する

仕事をスムーズに進めたいとき、パーソナルスペースを考慮して相手との距離を調整すると、相手とのコミュニケ―ションを円滑に進めることができます。

リーダーシップを取りたい場合、相手と物理的に距離を取ることが有用です。また、部下や、会ってから日の浅いチームメンバーとの親密になりたい場合は、円卓や会議用テーブルで横に座ると良いでしょう、相手との距離が120cm以内に入るため、心理的な距離が近い状態でコミュニケーションをとることが可能です。

2-3.座る席の場所を仕事に活用する

仕事上のコミュニケーションを豊かにしたい場合、パーソナルスペースを意識するだけでなく、席の配置を変えることも重要です。

リーダーシップを発揮しやすい環境を作るためには、角テーブルを活用しましょう。角テーブルは、上座に座ることでチームメンバーに対するリーダーシップを取れる効果が得られます。反対に、ミーティングの参加者と仲良く議論したい場合は、上座がない丸テーブルを使用することが適切です。丸テーブルは全員が対等な位置関係で座れるため、公平感のある環境を作ることができます。

角テーブルで座席に着く人が自分と相手の2人だけの場合は、座る場所の位置関係が重要です。 雑談を交えながら議論を行いたい場合、角を挟んで斜め45度方向にお互いが位置するように座りましょう。また、相手を説得するなど、しっかりとした話し合いをしたい場合は、テーブル越しに対面して座ることが有効です。共同作業を行う場合は、角テーブルで隣に座りましょう。相手の隣に座ることで、スムーズに作業を進めることができます。

3.パーソナルスペースで把握しておく3つの注意点

パーソナルスペースで把握しておく3つの注意点

パーソナルスペースを侵害すると、意図的でなかったとしても相手に不快感を与える恐れがあります。人間関係を円滑に進め、仕事への集中力を高めるためには、以下の3つの注意点を把握した上で、適切なパーソナルスペースを確保することが重要です。

  • ・苦手な人と思われないこと
  • ・セクハラだと思われないこと
  • ・パーソナルスペースを把握すること

ここからは、パーソナルスペースで把握しておくべき3つの注意点について、詳しく解説します。

3-1.苦手な人と思われないために

親密ではない相手のパーソナルスペースへ急に踏み込んでしまうと、苦手だという印象を持たれてしまったりすることも少なくありません。苦手な人と思われないためにも、相手の性格や行動パターンなどをしっかりと把握した上で、パーソナルスペースを見極めて接することを心掛けましょう。

悪印象が一度付いてしまうと、印象の回復は非常に困難となります。そのため、相手のパーソナルスペースに入ってしまわないよう、安心感が保てる適正距離を保ちましょう。

3-2.セクハラだと思われないために

現代社会において、職場でのセクハラは深刻な問題です。特に、相手が異性であった場合、パーソナルスペースに急に入ってしまうと、セクハラと捉えられる恐れがあります。

自分に悪意がなくても、相手が精神的な苦痛を受けた場合はセクハラとして見なされるため、相手との距離間には十分注意しましょう。

3-3.パーソナルスペースを把握することが大切

職場でのトラブルを避けつつ、コミュニケーションを円滑にするためには、適切なパーソナルスペースの把握が大切です。相手のパーソナルスペースだけでなく、自分自身のパーソナルスペースも理解した上で、相手との適切な距離を保ちましょう。

自分のパーソナルスペースを把握する場合、人から近づいて来られて不愉快と感じた距離が境目となります。一方、相手のパーソナルスペースは、自分が近づいたことで目線を逸らされたり、のけぞったりしたときの距離が境目です。このように、相手が不快感や嫌悪感を示すような反応を少しでも見せたら、距離を取るようにしましょう。

まとめ

今回は、パーソナルスペースの定義と種類、仕事におけるパーソナルスペースの活用法と活用時の注意点を解説しました。

パーソナルスペースは、相手との円滑なコミュニケーションに有用です。しかし、パーソナルスペースは人によって異なるため、相手のパーソナルスペースを事前に把握しておく必要があります。

また、自分のパーソナルスペースも把握することで、コミュニケーションが円滑に進むだけでなく、仕事への集中力を上げることが可能です。自分と相手のパーソナルスペースを把握した上で、会議の進め方などに合わせたテーブルなどを用意し、仕事の生産性を向上させましょう。

↑ ページの先頭へ