リーダーが求められる仕事の役割とマネジメントとの違い
企業やプロジェクトチームなど複数人が所属する組織には、代表となるリーダーが必要となります。大きなやりがいと共に責任もあるリーダーは、キャリアにおける大きな到着点と言えるでしょう。
しかし、任命されれば誰もがリーダーとして働けるわけではありません。現在の会社でリーダーとなる役職に就き、チームをどのように動かせばよいか悩む人も多いのではないでしょうか。
今回は、リーダーの定義やマネジメントとの違い、リーダーに求められる役割・要素を解説します。リーダーに求められる役割や要素を知りたい人は、参考にしてください。
1.リーダーの定義とマネジメントとの違い
リーダーとはリードする者、つまり「先導者」「統率者」「指揮者」といった意味がある言葉です。仕事におけるリーダーには、先導・統率・指揮などチームメンバーを動かす行動が求められます。
しかし、ただリーダーらしく振る舞うだけでは効果的なチーム運営ができません。チームとは能力や価値観が異なる個人の集合体です。そのため、リーダーはチーム全体の目線を目標へ向かせる力量が必要となります。
リーダーに欠かせないものの代表例が、以下のポイントに代表されるリーダーシップです。
- 先頭に立って目標へ進む
- メンバーをまとめる
- メンバーに適切な指示を出す
リーダーシップの重要性を説明するために、船を操る船長を例に挙げてみましょう。船が目指す港へ到着するためには、船長が船員をまとめあげて、正しい航路の指示を出す必要があります。船員が一体とならない、または指示に従わない場合、船は目的地へたどり着けません。
つまり、リーダーである船長にリーダーシップがあるかどうかで、組織である船は目標達成できるかが決まります。
リーダーの発揮するリーダーシップと似ているものが「マネジメント」です。マネジメントは管理職のマネージャーが行うものであり、主な仕事内容には以下の3つがあります。
- メンバーが活躍できる環境の構築
- 業務上のタスクやコスト管理
- メンバーの能力に応じた指導
マネジメントがチームメンバーに働きかける点は、リーダーと似ています。しかし、マネジメントではチームの方向性を決めません。マネジメントの役割はメンバー一人ひとりに気を配り、パフォーマンスを最大限に発揮できるよう支援することです。
2.リーダーに求められる役割
リーダーとしてチームを導くためには、役割を理解する必要があります。リーダーにはさまざまな役割が求められるため、実際にどのような役割があるか把握しておきましょう。
ここでは、リーダーに求められる5つの役割と、チーム全体やメンバーに与える影響を解説します。
2-1.目標を設定する
リーダーにとって最大の役割は、目標を設定してチーム全体の方向性を明確にすることです。目標がない状態ではメンバーの意識統一ができず、具体的な指示も出せません。チーム運営を円滑に行う方法として、目標は最初に設定しましょう。
ただし、いきなり大きな目標を設定すると、メンバーは達成をイメージできず混乱してしまいます。大きな目標を設定する際は、途中で成果を確認できる中間目標もいくつか設定してください。小さな中間目標でも少しずつ達成することで、目標へ進んでいる達成感をチーム全員が共有できます。
2-2.メンバーの模範になる
リーダーがメンバーをまとめるためには、メンバーの模範になって信頼を獲得しなければなりません。メンバーはそれぞれ個人の考えを持っており、信頼性に乏しい人間のもとでは十分なパフォーマンスを発揮できないためです。
メンバーの模範になるためには、誰よりも目標達成に向けた情熱があることを行動で示しましょう。業務の手順を熟知する、規則を守るといった簡単なことでも十分です。模範になるリーダーのもとでは、メンバーも高いモチベーションで目標達成に向けた行動を起こせます。
2-3.メンバーを育成する
リーダーはチーム全体を見るだけでなく、メンバーを育成することも心がける必要があります。経験・技術力が不足しているメンバーにも積極的に仕事を任せて、困っている場合は適切なアドバイスでサポートしましょう。人材育成はチーム全体の利益であり、目標を達成するための大きな力です。
メンバーの業務活動に対する定期的なフィードバックも忘れず行ってください。リーダーが成果を評価し、適切な指導を行うことで、メンバーは自身の成長やスキル向上を実感できます。
2-4.業務を管理する
メンバーの業務を管理することも、リーダーの大切な役割です。進捗状況やスケジュールを把握することで、目標の達成率やメンバーにかかっている負荷を判断できます。個々のメンバーが持つ能力に合わせて、達成可能な作業を割り当てるようにしましょう。
リーダーはメンバーとコミュニケーションを取り、業務に関する意見を取り上げる姿勢が必要です。意見交換によって業務の課題や改善点が見つかる場合もあります。
2-5.働きやすい環境を整える
メンバーが高いモチベーションで業務を行うために、リーダーは働きやすい職場環境を整えることが大切です。働きにくい環境ではメンバーが業務をスムーズに進められず、業務効率や生産性が低下します。
具体的には、現場の設備や人員配置で不満が出ていないか、チームワークや情報共有が正しく機能しているかなどに気を配りましょう。リーダーは問題点や不満を放置せず、適切に解決する能力が求められます。
3.リーダーに必要な要素
最後に、リーダーに必要な要素を7つ紹介します。成功しているリーダーが共通して持っている特徴であるため、リーダーを目指す人は身に付けられるよう意識しましょう。
◯常に目標を持つ姿勢
常に目標を持つことは、リーダーとして大切な資質です。リーダーは積極的に目標を持ち、チームを牽引することを心掛けましょう。
◯行動力
目標を設定できるだけでなく、目標に向けて努力できる行動力もリーダーに欠かせません。率先して行動を起こせるリーダーがいてこそ、メンバーも高いモチベーションで業務に取り組めます。
◯判断力・決断力
リーダーはトップに立つ存在であるため、高い判断力や決断力が求められます。ビジネスや計画進行でいくつか選択肢があるとき、リーダーの仕事は最良である選択を取ることです。優柔不断なリーダーではメンバーの信頼を繋ぎとめられません。
◯責任感
リーダーは責任感を持って決定し、結果を受け止める必要があります。メンバーの失敗も、上司である自分自身の現状把握やチーム育成能力が至らなかったためと考えられるようにしてください。責任感を持ってリーダーの役割を果たせば結果が伴います。
◯寛容さ
リーダーは固定観念にとらわれることなく、柔軟に思考できる能力が必要です。自分とは異なる意見がメンバーから出されても怒らず、真剣に耳を傾けて検討しましょう。
◯誠実さ
優れたリーダーとなるためには誠実さが不可欠です。誠実さがないリーダーの言動はメンバーから不信感を抱かれ、チーム全体の活動が停止してしまいます。普段から約束を守り、問題が起きた場合はきちんと説明する姿勢が必要です。
◯コミュニケーション能力
いかに優れたリーダーであっても、1人だけではチームプレーができません。メンバーと積極的に交流し、良好な信頼関係を築けるコミュニケーション能力が求められます。コミュニケーション能力は、メンバー間の調整や外部交渉にも必須です。
リーダーに必要な要素は、すぐに身につくものではありません。時間をかけて、少しずつ習得しましょう。
まとめ
ここまで、リーダーの定義やマネジメントとの違い、リーダーに求められる役割・要素を解説しました。
リーダーは組織の代表であり、リーダーシップを発揮して、チーム全体を目標へと牽引する存在です。マネージャーの行うマネジメントと役割が似ているものの、マネジメントでリーダーシップは必要ありません。
優れたリーダーとなるためには必要となる要素が多いため、自分に備わっているかを確かめておきましょう。たとえ今は備えていない場合でも、改善を心がければ後から身に付けることができます。