天井まであるパーテーションのメリットや注意点|選び方を解説!
オフィスにパーテーションを設置すれば、空間を仕切りながら快適さやおしゃれさを演出できます。新しく個室や半個室を設けたい場合などは、床から天井までを完全に仕切るタイプのパーテーションが便利です。
ただし、消防法によってパーテーションの高さが制限されているため、天井まであるパーテーションをオフィスに設置する際は注意しなければなりません。
今回は、天井まであるパーテーションのメリットや、設置時の注意点について解説します。ポイントをうまく押さえながらパーテーションを選べば、作業効率のアップに加えて、スタッフの満足度向上に大きく貢献できるでしょう。
▼このコラムを読んでもらいたい方
- ・天井まであるパーテーションを設置したい方
- ・パーテーションでオフィスに個室を作りたい方
- ・高さのあるパーテーションの選び方が知りたい方
▼このコラムを読んで得られる情報
- ・天井まであるパーテーションを設置するメリット
- ・天井の高さまであるパーテーションを使うときの注意点
- ・背の高いパーテーションを選ぶときのポイント
1.パーテーションを天井まで設置するメリット
近年では、天井近くまであるパーテーションなどを用いた「個室化」が人気を集めています。パーテーションを用いてオフィス空間を区切れば、簡単に個室や半個室を作れるのが人気を集めているポイントです。
とはいえ、一口にパーテーションと言っても、大人の身長より低く簡単に移動できるタイプから天井に届くほど高いタイプまでさまざまです。ここでは、床から天井まで仕切れるタイプのパーテーションのメリットについて解説します。
1-1.視線や音を遮断できる
天井まで高さのあるパーテーションを取り付ければ、優れた遮断性・遮音性が生まれ、プライバシーに配慮した空間づくりに役立ちます。
パーテーションで個室を作れば、周囲の視線や音漏れが気になりにくくなり、商談や会議の機密性を高められるのがメリットです。また、外部からの雑音も遮断できるため、作業に集中しやすくなります。ロッカールームのプライバシーや、収納スペースの貴重品を確実に守りたい場合は、施錠可能なドアつきのパーテーションもおすすめです。
仕事と休憩のメリハリをつけたいときにも、天井までのパーテーションによる個室化が役立ちます。休憩スペースとワークスペースを同じフロアに設ける場合、それぞれのスペースを確実に区切るだけで、オンとオフを切り替えやすくなります。
1-2.開放的でおしゃれな空間になる
素材や色にこだわった空間づくりは、オフィスをより広く見せたい場合や、デザイン性を高めたい場合に有効です。
天井まであるパーテーションで広い部屋を仕切ると、どうしても視線や動線が遮られてしまいます。閉塞感をなくし、開放的な印象にしたい場合は、明るい色や透明タイプのパーテーションがおすすめです。
なお、インテリアの素材や色をすべて同じにしてしまうと、無機質で単調な印象になりかねません。たとえば、ホワイト系のパーテーションにグレーのカーペットを合わせたり、2色以上の木目調を組み合わせたりして変化をつけると、空間にメリハリう生みだせます。
2.天井まであるパーテーションを設置する際の注意点
天井までの高さがあるパーテーションを設置すればさまざまなメリットを得られますが、同時にいくつかの注意点もあります。
施工時のトラブルや思わぬ災害を予防するため、高いパーテーションの導入を検討する場合は、事前に以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。
2-1.消防法に基づく届け出が必要になる場合がある
消防法では、天井まで隙間のない欄間クローズタイプのパーテーション(間仕切り)を設置する際、消防署への届け出が義務付けられています。
床から天井までのパーテーションを用いて空間の密閉性を高めると、空気の流れが遮られます。パーテーションが原因で、災害時に火災報知器や消火・排煙設備がうまく作動しなかったり、安全な避難経路を確保できなかったりすると、重大な事態に陥りかねません。
オフィス内の安全を確保するため、天井までのパーテーションを設置する場合は、管轄の消防署へ次の届け出を提出します。
防火対象物工事等計画届出書 | 施工工事開始日の7日前まで |
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防火対象物使用開始届出書 | 使用開始日の7日前まで |
上記2つの届け出にはオフィス内図面などの添付書類が必要で、書類準備などの手間を省くため、両方を同時に行うケースがほとんどです。
パーテーションの配置によっては、防火装置の新設が義務付けられます。消防法が定める公共施設やオフィスなどの消防設備の詳細は、次の通りです。
第十七条 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの関係者は、政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設(以下「消防用設備等」という。)について消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように、政令で定める技術上の基準に従つて、設置し、及び維持しなければならない。
第七条 法第十七条第一項の政令で定める消防の用に供する設備は、消火設備、警報設備及び避難設備とする。
- 2 前項の消火設備は、水その他消火剤を使用して消火を行う機械器具又は設備であつて、次に掲げるものとする。
- 一 消火器及び次に掲げる簡易消火用具
- イ 水バケツ
- ロ 水槽
- ハ 乾燥砂
- ニ 膨張ひる石又は膨張真珠岩
- 二 屋内消火栓設備
- 三 スプリンクラー設備
- 四 水噴霧消火設備
- 五 泡消火設備
- 六 不活性ガス消火設備
- 七 ハロゲン化物消火設備
- 八 粉末消火設備
- 九 屋外消火栓設備
- 十 動力消防ポンプ設備
2-2.エレベーターに搬入できるか確認する必要がある
天井まで届くパーテーションはサイズが大きいため、エレベーターに入らない場合があります。また、破損防止のため、内装工事や引っ越しなどの際に、エレベーター周辺の養生を義務付けているビルも少なくありません。
もしエレベーターでの搬入が難しい場合は、階段や高所作業車などを用いる必要があります。天井までの高さのパーテーションを設置する場合は、パーテーションの搬入ルートについて施工会社とビルのオーナーに確認したうえで工事計画を立てましょう。なお、オフィス業者によっては、オフィスレイアウトの提案から搬入、パーテーションの設置までを請け負っている事例があります。
2-3.現場作業により工事中は騒音が発生する
パーテーションの設置工事では、現場の広さやパネルの配置に合わせて材料をカットしたり、天井や床面に固定用の穴を開けたりする工程が必要です。その際、どうしても大きな音や振動が生じます。
設置工事の際の騒音トラブルを避けるため、ビルのオーナーだけではなく、ほかのテナントにも事前に報告して了承を得ておくことが大切です。マンションの低層階や住宅街にオフィスがある場合は、マンションの入居者や近隣住民に挨拶回りをするか、玄関ポストに文書を投函するとよいでしょう。
オフィスビルでは、ほかの部屋に影響しないよう工事を土日祝日に限定している事例も少なくありません。一方、学生や働き盛りの人が多く住む場所では、人が少ない平日昼に工事をするほうがよいケースもあります。オフィスの立地や周辺住民の属性に合わせてスケジュールを立てると、クレームが来るリスクを下げられるため要チェックです。
3.天井までの高さがあるパーテーションを選ぶ際のポイント
さまざまな種類から自社に合うパーテーションを選び、快適に運用するには、使用する理由や場面をよく吟味するのが大切です。
天井までの高さがあるパーテーションは、低いパーテーションと比べて設置コストが高くなりやすいため、失敗しないよう選び方のポイントを押さえましょう。
3-1.ポイント1:素材
パーテーションは、設置する目的によって適切な素材が異なります。
たとえば、静かさや冷暖房効率を重視するなら、石膏やグラスウール入りのスチールパーテーションを用いると、断熱性・遮音性が高まります。工事の手間と導入コストを抑えたい場合は、軽量かつ本体価格が安めのアルミ素材のパーテーションを選ぶとよいでしょう。
また、完全に目隠しする必要がない場合や、圧迫感を出したくない場合は、ガラスタイプのパーテーションもおすすめです。一定の高さまですりガラスにしたり、パーテーションに沿って観葉植物を並べたりすると、適度に視線を遮れるため集中力の向上にも役立ちます。
3-2.ポイント2:色味
空間をどのように使いたいかによって、パーテーションの色選びのポイントは変わります。
たとえば、開放感を強調したい場合は、明るい膨張色や天井が高く見える、細かいストライプ柄のパーテーションを用いるとよいでしょう。明るくあたたかみのある雰囲気を出したいときはパステルカラーや木目調、落ち着いた雰囲気にしたいときは淡いブルー系がおすすめです。
社外の人の目に触れやすいエントランスや、応接室にパーテーションを設置する場合は、会社のイメージカラーを取り入れると強い印象を与えやすくなります。スタッフ向けのリフレッシュスペースやロッカールームなら、癒し効果が期待できるグリーン系などを取り入れると気分転換しやすくなるでしょう。
集中力を高めるためにパーテーションで個室化したり、ちょっとしたリフレッシュルームとして視線切りをしたりなど、空間の使い方に応じてパーテーションの色合いを合わせるとおしゃれなオフィスを構築できます。
3-3.ポイント3:仕様
使用目的や希望に合う仕様のパーテーションを選ぶと、無駄なコストを省きつつ快適な空間づくりに貢献できます。
たとえば、1~2枚のパーテーションを直線状に置きたい場合は自立式、コの字型やロの字型などに配置したいなら連結タイプのパーテーションがおすすめです。大人の身長より高いパーテーションなら、天井までの高さがなくても目隠しとして十分に機能します。
換気をよくしたい場合や、部屋をまたいでエアコンを使いたい場合は、欄間オープンタイプのパーテーションを選ぶとよいでしょう。マグネットがくっつくパーテーションであれば、ポスターやマグネットつき小物入れを貼って空間を有効活用できます。
イベント開催時や大勢で使用する場合のみ仕切りを取り外したい空間には、スライディングウォールがおすすめです。天井や床のレールに沿ってパネルを動かせば、女性でも簡単にレイアウトを変えられるメリットがあります。
3-4.ポイント4:消防法に基づいたオフィス環境
天井まで高さのあるパーテーションを選ぶときは、オフィス環境に応じた設置方法を心がける必要があります。
先述したとおり、天井まで高さのあるパーテーションは空間を仕切るため、消防法による届け出が必要です。天井から降りているスライディングウォールなどを設置するときも、間を仕切った際、各空間内に「火災報知器・スプリンクラー等」があるか確認しなければなりません。
消防法に違反していると、警告の後、改善されなければ1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科されます。それでも改善されなければ、3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が課されてしまうのも事実です。
天井から降りているスライディングウォールや、天井までの高さがある欄間クローズ型のパーテーションを使うときは、かならず消防法に則った届け出を行いましょう。
まとめ
天井まで高さのある隙間のないパーテーションを設置するときは、消防法に基づいた工事の届け出が必要です。外部からの視線や音漏れに煩わされにくくなるなどメリットがある一方で、空調を新設したり、場合によってはスプリンクラーを新設したりする必要がある事例も。
とはいえ、天井までのパーテーションをオフィスに設置すれば、作業に集中しやすくなります。さらに、スタッフのプライバシー保持や防犯性のアップ、そして色の心理効果を活用した作業効率のアップなども可能です。
天井までのパーテーションを設置する際は、搬入経路のチェックや、近隣のオフィス・住民への配慮も欠かせません。これらのポイントを押さえつつ、用途や目的に合ったパーテーションを選び、快適かつ安全なオフィス環境づくりに貢献しましょう。
近年では、パーテーションを用いた“個室化”が人気を集めています。興味のある方は、オフィスレイアウトの提案から搬入、実施を行っているオフィスコムのレイアウトサービスをぜひご利用ください。
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