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企業の防災備蓄義務とは?防災対策に役立つ備品をチェックしよう

非常食

地震大国とも言われる日本では、大きな震災がたびたび発生しています。また、近年では地震だけでなく、台風や豪雨などで大きな被害が発生しつつあるのも事実です。

震災は、いつ、どこで発生するのか誰にも知ることはできません。社員や来客者を守るためにも、あらかじめ企業側で防災用の備蓄品を揃えておく必要があります。

この記事では、企業の防災備蓄義務について解説した上で、防災対策に役立つ備品をご紹介します。

1.企業の防災備蓄義務とは

企業の防災備蓄義務とは

現在、東京都では「東京都帰宅困難者対策条例」という条例により、企業の防災備蓄義務が課されています。

どのような条例なのかチェックしていきましょう。

1-1.東京都帰宅困難者対策条例とは

東京都帰宅困難者対策条例とは、2011年3月11日に発生した東日本大震災の被害状況を省みて、2012年3月に制定、2013年4月に施行された東京都条例です。企業に防災備蓄を義務付ける内容となっています。

東京都帰宅困難者対策条例をピックアップしたものは以下のとおりです。

「震災後、むやみに従業員を移動させない」
「従業員が通信連絡できる代替手段を確保しておく」
「備品として全従業員分の水・食料を備蓄する」
「事業所内に留めておける各備蓄を用意する」

震災発生当時、被害を受けてさまざまな交通機関が停止し、多くの帰宅困難者が発生しました。コンビニのようなインフラ設備は機能していたため、水や食料が不足する事態には陥らなかったものの、首都直下型地震はいつ発生してもおかしくありません。

そのため、企業側が防災備蓄など災害対策をしておくことが重要視されています。

1-2.東京都では企業の防災備蓄が義務付けられている?

実は、東京都帰宅困難者対策条例自体は努力義務であり、法律で罰則が定められている訳ではありません。そのため、企業側が防災備蓄義務を放棄しても良いのでは?と考えてしまう方もいます。

しかし、経団連の加盟企業の多くは条例に応じており、企業側で防災備蓄品を用意しているケースが大半です。また、東京商工会議所などでも、半数以上は防災備蓄を含めて何らかの防災対策をしていると回答しています。

平成26年に行われたアンケートによると、事業所側で備蓄できている割合は「飲料水80.5%」、「食料品74.7%」、「災害用トイレ53.0%」、「毛布51.2%」となっています。
出典:東京都内事業所の帰宅困難者対策実態調査結果について(東京都防災公式サイト)

企業の防災備蓄義務を放棄すると、無理に帰宅した従業員が二次災害に巻き込まれてしまうかもしれません。

近年では条例に基づいて企業側で防災備蓄を整備する企業が増えています。何一つ防災対策をせず、帰宅させた従業員が二次災害に巻き込まれたら…。場合によっては、ご遺族から訴えられてしまう可能性もあります。

法律家の中には、「企業が防災備蓄義務を怠っていれば安全配慮義務違反を問われる可能性は十分に高いだろう」と指摘する方もいます。従業員を守るためにも、企業として防災備蓄義務は可能な範囲で取り組むべきだと言えるでしょう。

2.防災対策の備品とは?必要なものリスト

防災対策の備品とは?

従業員の安全を守るためにも、企業が防災備蓄義務を果たして防災グッズを備えておく必要があります。防災対策の必需品とも言われる備品をチェックしておきましょう。

  • 備蓄水
  • 備蓄食料(アルファ化米、クラッカー、乾パン、カップ麺など)
  • ブランケット毛布や携帯カイロ
  • 電池やバッテリー
  • 生理用品
  • 簡易トイレ
  • 防災用ラジオ
  • 簡単な薬(胃腸薬や解熱薬)
  • 救急用品

企業側で防災備品をまとめて購入するのも良いですが、救急用品など一部の備品が不足することもあるためご注意ください。

2-1.従業員×3日分の非常食が必須

始めに「水、食料、毛布」の3点は東京都帰宅困難者対策条例により必要なものと定められています。具体的には以下のとおりです。

  • 1日3L×3日分の水×社員数分
  • 1日3食×3日分の食料×社員数分
  • 毛布やブランケット×社員数分

仮に事業所の人数が30人だった場合は、企業で備蓄しておく非常食の合計は270Lの水と、270食分の食料です。それに加えて、30枚以上の毛布やブランケットを備蓄しておくことが推奨されています。

また、来客者などのためにも、少し余裕をもたせて非常食を備蓄しておくこともポイントです。

2-2.災害時に役立つ備品一覧

防災備蓄として必需品とまではいかないものの、災害時にあると役立つ備品は以下のとおりです。

  • 防災グッズ(ヘルメットや革製軍手)
  • グッズを持ち運びやすいリュック
  • ライター
  • 携帯用ライト
  • ホイッスルや防犯ブザー
  • 衛生用品(ウェットティッシュやボディシート)

「オフィス内が倒壊して取り残される」といった可能性も考えられます。各室にホイッスルを1つずつ壁掛けしておくことで、生存確認やアピールで体力を温存するといったメリットが見込めます。

3.企業のオフィスで防災備蓄品を保管する方法

オフィスに勤める従業員分の防災備蓄品を準備する場合、備蓄品の保管方法が問題になるかもしれません。

基本的に、防災用品はすぐに取りにいける場所へ保管しておくことがベストです。また、オフィスビルなど階層が複数に分かれている事業所の場合は最低でも各階に食料品や毛布を配置しておくよう心がけましょう。

防災備蓄品を保管する方法についてご紹介します。

3-1.隙間に保存する

オフィス内のキャビネットにまとめてしまったり、保管棚などのちょっとした隙間に防災グッズをまとめて置く方法があります。多くの備蓄品を保管することはできませんが、各スペースごとに小分けしておけるため、従業員が備蓄品を手に取りやすいといったメリットがあります。

3-2.倉庫など専用のスペースを設ける

企業側で防災品を備蓄する場合は倉庫や空き室など専用のスペースを設けてみるのもポイントです。防災品をまとめて管理しやすくなるといったメリットがあります。備蓄品を高く積み上げすぎてしまうと倒壊・落下する恐れがあるため注意が必要です。

万が一の際に防災品が取り出しやすいよう、常日頃から整理整頓を心がけておきましょう。

3-3.従業員のデスクに設置しておく

予め従業員のデスクに設置しておくと、防災備蓄品の保管スペースを確保する必要がなくなります。また、災害時に各従業員が防災グッズを手に取りやすいといったメリットもあります。

ただし、フリーアドレスデスクなど決まったデスクを持たないオフィス環境の場合は工夫が必要です。

4.企業が防災備蓄に取り組むときの注意点

企業が防災備蓄に取り組むときの注意点

非常食などの防災グッズを多数備蓄しておくうえで、注意すべきポイントが2つあります。

  • 備蓄保管の方法は消防法令を意識
  • 備蓄品の賞味期限切れに注意

それぞれの注意点を見ていきましょう。

4-1.備蓄保管の方法は消防法令を意識

企業としての防災備蓄義務を果たそうとする一方で、備蓄の保管方法には注意しなければなりません。

  • 備蓄品が通路に山積み
  • 積み上げた備蓄品がスプリンクラー設備に触れている
  • パイプシャフトに備蓄品を置く
  • 機械室を倉庫にしてしまう

上記のケースは消防法令の違反となります。防災グッズを備蓄するにあたって、各法令を違反していないか注意しておきましょう。

4-2.備蓄品の期限切れに注意

防災グッズなどの非常食を備蓄していても、いざ必要になったときに消費期限が切れていては元も子もありません。そこでポイントとなるのが、「ローリングストック法」という方法です。

ローリングストック法とは、備蓄している防災グッズの中から古いものを定期的に消費してから買い足していく手段です。常に一定量の非常食を保管できるうえに、期限切れ間近の非常食を消費することができます。

防災訓練などで定期的に非常食を消費すれば、従業員の防災意識向上や味の好みを聞き分けることも可能です。備蓄品の期限切れには注意しておきましょう。

まとめ

東京都では企業に防災備蓄義務を課しています。そのため、企業側で防災グッズや非常食などの備蓄を揃えておくことが重要です。

その際には、防災グッズなどの備蓄品は各従業員が取り出しやすい位置に保管しておくことを心がけましょう。基本的には「分散備蓄」として、従業員それぞれに防災グッズを配布しておくことをおすすめします。

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