ABWとは? フリーアドレスとの違いやABWの導入方法まとめ
近年、経費のコストダウンを図るとともに従業員の生産性を上げる働き方として「ABW」が注目されています。
経費削減や業務効率化は、企業にとって大きなメリットです。しかし、ABWとは一体どのような働き方なのか、具体的に知っている人は多くはありません。また、ABWは魅力的な働き方であるものの、すべての企業や職種でABWを導入すべきだとは限らないのも事実です。
当記事では、ABWとはなにか、基本的な考え方からABWの導入方法まで詳しく解説します。ABWの導入を検討中の人は、ぜひ参考にしてください。
▼このコラムを読んでもらいたい方
- ・ABWとはなにか気になる方
- ・フリーアドレスデスクとの違いがわからない方
- ・ABWの導入方法を知りたい方
▼このコラムを読んで得られる情報
- ・ABWの概要
- ・ABWの導入で得られる効果
- ・ABWの適切な導入方法
1.ABWとは?
「ABW(Activity Based Working)」とは、オランダで生まれたワークスタイルでそれぞれの社員が仕事を効率的に進行できる最適な場所を自分で選ぶ、新しい働き方を意味します。
たとえば、「1人でじっくりと企画書を作成するときは自宅や図書館」「同僚とアイデア出しするときはカフェ」など、個々の仕事に最適な環境を「職場」として働ける仕組みがABWです。
近年では「1人用の集中スペース」「打ち合わせ用のカジュアルなラウンジ」「休憩用のソファコーナー」など、多種多様な空間をオフィス内に設けてABWを導入する企業もあります。
1-1.ABWを導入するメリット・デメリット
ABWを導入するメリットは、業務の効率化だけでなく、オフィス面積の縮小による不動産コストや電話・インターネット回線費用などの固定費を削減できる点です。加えて、プライベートな時間が増えるなど従業員にも大きなメリットがあります。近年は生産性が向上するような快適なオフィスを求める求職者が増えているため、求職者の関心を引くオフィス環境づくりの一環としてABWが注目されています。
一方で、ABWを導入するデメリットは管理職が部下を管理しにくい点です。社内のコミュニケーションが取りにくくなるほか、労務管理が煩雑になるデメリットもあげられます。
とはいえ、社員に自由な環境を与えるABWなら、仕事への集中力や創造性が高まるメリットが期待できるのも事実です。ABWのメリット・デメリットを比較すると、勤怠管理面にいくつかの課題が残るものの、会社・従業員ともに大きな魅力を持つといえます。
1-2.ABWとフリーアドレスの違い
ABWと似た働き方には「フリーアドレス」があげられます。フリーアドレスは、社員が個人専用のオフィスデスクを持たず、オフィスの中で自由に席を選ぶワークスタイルです。そのため、ABWとフリーアドレスを混同する人も少なくありません。
しかし、ABWとフリーアドレスには厳密な違いが存在します。
ABW | フリーアドレス | |
---|---|---|
オフィスに固定席がある | △ | × |
オフィス外で作業できる | 〇 | × |
オフィスを省スペース運用できる | 〇 | 〇 |
ABWとフリースペースの共通点は、固定席を設けないためオフィス面積を削減できるメリットがあげられます。
しかし、フリーアドレスデスクは固定席を設けない仕組みに対し、ABWは自席が与えられる事例もある点が違いです。また、フリーアドレスは働く席そのものに重点が置かれていますが、ABWでは仕事内容を基準とする”働き方”に着目している点が大きな違いです。
1-3.ABWで生産性が向上した事例
ここでは、ABWを導入して成功した3社の事例を紹介します。いずれの事例も、ABWの導入によって大きなメリットを得られたと評判です。
◯オランダの電力会社A社
ABWの導入後、固定席を撤廃し、週2日は自宅勤務に切り替えました。これにより、A社では経費削減・生産性向上に成功しただけでなく、社員の自由度や満足度が高くなったことで会社としての魅力が増し、優秀な人材が集まるようになりました。
◯日本の事務用品会社B社
複数支社の統括に伴い、1人で仕事する集中作業・2人によるPC作業・3人以上の知識共有作業など、仕事内容に応じたワークスペースを設けました。ABWに加えてテレワーク制度も導入し、多様性のある働き方を社員に推奨したことで、従業員エンゲージメントが向上しました。
◯日本の不動産会社C社
C社では働き方に関する調査結果を踏まえてオフィススペースを分配し、勤務環境を整えました。ABWの導入で社員1人当たりの占有面積が減った代わりに、広々としたレセプションスペースやカフェを新設したことで社員の自由度が高まり、仕事の効率性やクオリティが上がったと評価しています。
2.ABWの導入方法
ABWは、「オフィスにかかる諸経費の削減」「生産性の向上」「従業員の満足度アップ」などの効果が期待できる働き方です。しかし、ABWの導入の仕方を間違えてしまうと、かえって社員の生産性が落ちるおそれがあります。ABWの効果を最大限に発揮させるためにも、適切な順序を踏まえてABWを導入する必要があります。
ここでは、ABWを成功させる導入方法を詳しく解説します。
2-1.ABWを導入できる職種か確認する
ABWは、すべての職種に適した勤務形態であるとは限りません。
一般的に、ABWの導入が向いている職種は営業や企画といった在席率の低い職種です。一方で、総務・経理・研究開発など、デスクワークが多く専用ツールを必要とする職種は、ABWを導入するハードルが高いと言えます。
一般的に、オフィス家具や専門器具の必要性が高い職種はABWを採用しにくく、オフィスがあまり重要視されていない環境はABWを導入しやすくなっています。
2-2.オフィスの現状を調査する
ABWの導入前に、オフィスの現状を把握するのが大切です。業務に必要なスペースや設備、在席時間、オフィスの課題など、社員の生の声を聞けるアンケート調査は現状把握に効果的な方法です。また、アンケート調査の結果は、ABW導入を踏まえた新しいオフィスづくりのヒントにもなります。
たとえば、少人数の会議が多い場合は、小規模の会議室やミーティングスペースを複数設ける必要があります。Web会議や電話会議が多い場合は、専用ブースの設置が欠かせません。
オフィスの現状を知らなければ、ABWを適切に導入できないため、アンケートを通して必要なワークスペースの洗い出しをおすすめします。
2-3.レイアウトを決める
オフィスの現状に関するアンケート調査の結果を踏まえて、オフィスレイアウトを検討します。
ABWのオフィスで多く採用されるレイアウトは、「個人作業に専念できる1人用ブース」「大小の会議スペース」「落ち着けるおしゃれなカフェスペース」などです。また、ソファコーナーやフィットネススペースなど、従業員同士のコミュニケーションを促す空間を設ける事例もあります。
ABWの導入メリットを最大限活かすため、会社のニーズに合うレイアウトの考案が大切です。
2-4.ABW用のオフィス家具を買う
レイアウトが決まったら、各スペースに適したオフィス家具を購入します。
たとえば、オフィスデスクはスペースの目的に応じたデザインの机を選ぶ必要があります。1人用ブースには個室ブース型オフィスデスク、複数人で行う共同作業スペースには横並びできる長めのテーブルがおすすめです。
また、カジュアルなミーティングスペースには、おしゃれなローテーブルやソファ、スタンディングデスクを用意してみるのもポイント。
旧来のオフィスとは異なるタイプのオフィス家具でレイアウトできるのも、ABWを導入するメリットです。
3.ABWに最適なオフィス家具は「オフィスコム」
ABWの導入に伴いオフィス家具を購入する際はぜひ「オフィスコム」の利用をご検討ください。
オフィスコムでは、オフィスデスクからソファ、パーテーションのほか、オフィスチェアメーカーとして大人気のオカムラやイトーキなど、さまざまな素材・デザイン・サイズのオフィス家具を取り扱っています。そのため、ABW導入のため新設したワークスペースに最適なオフィス家具を見つけられるのも特徴です。
さらに、オフィスコムでは対象地域にて組立設置サービスも依頼できます。オフィス家具の組立・設置から梱包材の処分まで対応できるため、ABW用のオフィス家具を購入・導入する手間を省ける点がメリットです。
「ABWに必要なオフィス家具を買いたい」と目当ての製品をお探しの方は、ぜひオフィスコムを検討してみてください。
オフィスコムでオフィス家具を見る
まとめ
ABWとは、仕事内容に応じてオフィス内外を移動して仕事をする自由な働き方です。業務に適切なワークスペースで働けるため、生産性の向上が期待できます。また、固定席を排除した分、今よりも小さなオフィス環境で働けるのもメリットのひとつ。ABWの導入に伴ってオフィスを移転すれば、固定費の削減にもつながります。
ただし、無計画にABWを導入すると失敗する可能性が高くなるのも事実です。ABWを採用しやすい職種か確認し、オフィスの現状を把握したうえで、ABWを導入すべきか判断するのが大切です。在席率の低い職種なら、ABWの導入に成功しやすくなっています。
ABWの導入に伴い、新しいオフィス家具を買う必要性が生じた場合はぜひ「オフィスコム」のご利用をご検討ください。